神の名は真我(しんが)。
史上初めて座を握った初代であり、その法則はすべての生命が善と悪の二極に分けられ、争い合う世界。
仮にどちらかが一方を滅ぼしても次の瞬間に価値観が逆転し、昨日の善が今日の悪となるため戦いは終わらない。
正義の流転という、神座世界を縮図化したような理と言える。
神の名は無慙(むざん)。
真我を倒して座を奪った二代目の神であり、その法則はすべての生命が原罪という根源的な業を持つ世界。
ゆえに歯止めの利かない欲望は肥大を極め、文明の発展と比例して凶悪な犯罪が吹き荒れる混沌の時代と化す。
それは悪を喰らう悪の楽園。
力こそがすべてを決する大罪人たちの蠱毒は無慙無愧で、恥もなければ悔いもない。
神の名は明星(みょうじょう)。
無慙を倒して座を奪った三代目の神であり、その法則はすべての生命から罪業を拭い去り、浄化された世界。
完全なる善の世界を実現し、争いを消し去るため、人の個性というものを排除した群体的構造のディストピア。
強迫神経症めいた潔癖さと殺菌による塩の牢獄——というのが明星の世界である。
神の名は水銀(すいぎん)。
明星を倒して座を奪った四代目の神であり、その法則はすべての生命が無限ループする世界。
死後という概念を生み、時間軸にも干渉することで多元宇宙的な領域にまで支配を広げた、神座世界における中興の祖。
歴代最長の在位期間を誇る。
神の名は黄金(おうごん)。
自滅因子という神の自殺願望から生まれた神殺し。
長命すぎて心を病んだ水銀が死にたいと願ったため、自分を殺せる存在として黄金は生み出された。
そのため彼ら二人は親子であり、親友であり、不倶戴天の関係ながら一蓮托生でもある。
水銀が持つ破滅願望の化身が黄金であるため、前者が死ねば後者も消える。
ゆえに黄金は、神でありながら神の座に就くことができない。
神の名は黄昏(たそがれ)。
水銀から禅譲を受けることで座を握った五代目の神であり、その法則はすべての生命が生まれ変わり続ける世界。
輪廻の中であらゆる生を体験することで、霊的に混血化を促すのが特徴。
それはすなわち、人種や性差、貧富などから生じる差別意識の希薄化であり、緩やかな時間をかけて人を成長させることが目的だった。
また、すべての時代において神の共存を成さしめたのは、この第五神座・黄昏のみの偉業である。
神の名は刹那(せつな)。
もとは黄昏を神として成長させるため、水銀によって生み出された疑似生命体。
後に生まれの呪縛を超越し、神として覚醒するが、彼の法則は宇宙のすべてを永遠の時間停止に落とすというものだったため、自分は神の器に非ずと悟って黄昏に座を譲る。
以降、彼女の守護者として第五神座の盾となった。
神の名は波旬(はじゅん)。
黄昏を倒して座を奪った六代目の神であり、その法則はすべての生命が最後の一人となるまで殺し合う世界。
天上天下にもっとも尊い存在は自分一人、ゆえに自分以外は死ぬべきであるという狂った自己愛に支配された歴代最悪の理。
神の名は曙光(しょこう)。
波旬を倒した六人の勇者のうち、坂上覇吐と久雅竜胆の娘である七代目の神。
初代から六代目までの世界を疑似再現し、在るべきところに魂を導くというのが法則だが、現状は心身ともに未熟。
自分の力と立場をよく分かっておらず、「なんとなく凄くて偉い」くらいにしか認識していないのだが、保護者たちが有能なのでうまくいっている。